technique

設計の手法

住まいのプランニングをするとき、必ず意識し、慎重に検討するポイントがあります。

 

■敷地を読み込むこと■光と風を活かすこと■ゾーニング■家族の居場所となる仕掛けを用意すること

■動線と視線について整理すること■断面の構成を考えること■窓のあり方を考えること

 

これらは住まいの設計の原則のようなものだと思います。

住まいのプランニングとパズルとの違いは、これらのポイントを意識しながら間取りを考えているかどうかです。

一見締麗にまとまっているように見える間取りであっても、

設計の基本として、これらのポイントがきちんと整理されていなければ、心地よい住まいにはならないでしょう。

ここではわたしたちの手がける住まいで活かされている設計手法としてご紹介します。


敷地


敷地を初めて訪方れたときは、その敷地を見るというよりも、敷地周囲の状況を見ます。近くの道路の車や人の通りはどうか。川があれば水量や生き物が棲んでいそうかどうか。

近所の家の建ち方はどうか。日当たりや風の抜け方。近くの視界に入るものと遠くに見える山や建物...。その敷地と周囲との関係性から、住まいのイメージを作ります。

 


ゾーニング


玄関、LDK、寝室、子ども部屋、水廻りなどの部屋を単純な機能として見なします。 読み取った敷地の特性を活かして、敷地の中でここにこういう機能があると気持ちがいい、ここにはこの機能を持ってくると便利がいい、というふうに、具体的な間取りを考える前に各機能のレイアウトをおおまかに決めていきます。

そのレイアウトは単純な情報しか持たない分、自然と外部や他の部屋との関係性を強く意識し、整理されたものになります。

 



導線と視線


家事を考慮した動線を考えるのはもちろんのことですが、行き止まりをなくして廻れる動線とすることで、住まいに奥行きを持たせたり、

短くショートカットするような通り道を用意して、ストレスを感じさせない構成を考えます。

移動するときに見えるものや感じることも大切にしています。

視線についても動線と同じように図面の上に線を引いて、視線の先に何が見えるかをイメージします。

キッチンに立って料理をしているとき、 リビングでごろごろしているとき、家に帰ってきて「ただいま」と声をかけるとき、

視線の先にどんな景色や表情があったら心地いいでしょう...。

 




窓は光と風、音や香りといった外部からやってくる要素との応答と、景色を切り取るための装置です。必要なものは取り込み、いらないものは拒否する、とても重要な門番のようなものです。同時に住まいの表情をも左右するので、窓の計画がうまくいっていないと、外からその住まいを見たとき、生活の潤いが感じられないものです。

大きく開いたり、小さく絞ったり、天井に付く高い位置につけたり、床に付けて地窓にしたり、居室であればコ方向に設けたり..ひとつひとつの窓に意味を持たせて、外部とのやり取りを楽しめる窓を考えます。

 



光と風


光と風の取り入れ方はその住まいの居心地を決定するものです。明るさ、空気の流れ、熱という要素を、住まい全体の形状、部屋の容量、開口部等を駆使してコントロールします。

季節によっても、一日のうちでも、刻々と変わる光と風を、住まいにとって大切な要素として受けいれられる、パッシブな設計を心がけています。

 



居場所


住まいの中に家族の居場所をちりばめて、部屋としての名前はないけれど、多目的なスペースとして使われる場所があるといいですね。

リビングの一角に本棚とカウンターがあれば、パソコンコーナーやちょっとした書斎として使えます。 2帖程度でも畳のスペースがあれば、こもり部屋や昼寝部屋、お子さんが遊ぶ場所にちょうどいい。

天井高さの低いロフトや、キッチンの横に用意したパントリーも、使い方次第でいろいろな用途に使える魅力的な居場所になります。

 



断面


間取りを考えるときは平面の絵を描きながら、同時に頭の中では断面の構成を考えます。各階の空間的なつながりや構造的なバランスをはじめ、景色の見え方や、取り込んだ光、風がその部屋にどう影響するかを考えるために、窓や天井高さを検討します。住まいの佇まいも断面によって決まるので、間取りと同じく重要なポイントです。

平面プランの提案をするときは、大抵、断面図も一緒にご覧いただいて、全体像を把握してもらうようにしています。